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荘厳、即成院の「二十五菩薩お練り供養法要」

即成院

 秋、京都を歩く楽しみの一つがさまざまなお寺の拝観です。ところが、荘厳に飾られた仏像をいくら見上げても、極楽浄土のイメージはなかなかわいて来ないものです。そういう凡愚な私たちのために……、昔の人が考えだしてくれはったのが、目の当たりに極楽浄土を見せていただけるという、即成院さんの「二十五菩薩お練り供養法要」です。
 東山の泉涌寺の塔頭である即成院にうかがうと、御内陣に阿弥陀如来像、そして二十五体もの菩薩像が安置されています。因みに、「如来」というのは悟りを得た仏様で、「菩薩」はその手前で成仏をめざしている修行者を指すのだそうです。泉涌寺のこれらの像は平安時代の末に造られました。
 静寂な境内に出迎えてくださったのは、ご住職の平野雅章師です。
 「日本全国の二十数ヶ寺でお練り供養は行なわれていますが、みなそれぞれに趣旨が異なります。即成院のお練り供養はご本尊の阿弥陀如来様、そして大地蔵菩薩、観世音菩薩、大勢至菩薩など二十五体の菩薩様が、ふだんおわす内陣から姿を現され、現世に来迎される姿をあらわしております。そのため、お練りのときには人間の表情をわからさないように、和紙を幾重にも重ねた面をかぶります。目の位置に小さな穴がありますが、そこから外を見て歩くのは難しいでしょう。だから、お付きの人が一緒に歩くんですよ」
 当日は、山伏の吹くホラ貝の音に始まって、越天楽が奏でられるなかに荘厳な浄土の景色が繰り広げられます。
 「菩薩様たちは手に手に古い楽器を持っていらっしゃいます。その一部は現代に伝わっていないものもあります」と平野師。楽器の形にも、御内陣の菩薩たちが造られた平安の昔がしのばれます。

協力者:即成院

今年の二十五菩薩お練り供養は10月19日(日)です

 

即成院 住職 平野  雅章師
即成院 住職 平野  雅章師
「即成院は、源平合戦のときに扇を射たことで知られる那須与一ゆかりのお寺としても知られております。『願いが的へ』と縁起がいいんですよ」。


即成院  
即成院

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即成院
京都市東山区泉涌寺山内町28
TEL 075(561)3443